新人は、いつの世も、そしてどんな集団にあっても、「訳が分からない」状態におかれる。
医局に配属されたばかりのレシデントからカルト教団の洗脳待機者にいたるまで、あらゆる一年生がそういう目にあう。
根拠があるかも分からない、集団内の独自ルールやしきたりや儀礼や評価基準などが、容赦なく襲ってくる。
何故なら、「いままでの知識も体験もまるで役に立たない状況に取り巻かれた状態」こそ、ヒトの学習能力が最大限に発揮される時だからだ。
しかし学習能力は高まるかもしれないが、そうした状況はストレスフルなことこの上ないことも確かだ。
たとえれば、水の中にたたき込まれて、どっちが上で下なのかすら分からないような状態だ。
向きを確認し、自分を落ち着かせるために、《地図》を描こう。
といっても、ローカルなルールやコードを解読するには、まだ少し時間がかかるだろう。
こんなときフィールドワーカーはまず、《目に見えるもの》から始める。
例えば調査している村落の、どこに何が建っているかを書き出していく。
最終的には、そこで繰り広げられる、目だけでは見ることができない文化や何かを明るみに出すとしても、まずはそこからはじめる。